
ツールの操作方法を教えるだけのスクールではありません。Illustrator、Photoshop、Figmaといった必須スキルに加え、「仕事としてデザインすること」の本質を伝える実践的カリキュラムを開発しました。教材制作から講師・メンターのマネジメント、生徒のモチベーション管理まで、教育事業の裏側をすべて掌握し、未経験者をプロのデザイナーへと変える育成プラットフォームを築き上げたプロジェクトです。
デザインを学べる場は、世の中に溢れています。オンライン動画教材、対面型スクール、独学用の書籍——選択肢は多様化し、ツールの操作方法を学ぶこと自体は決して難しい時代ではなくなりました。
しかし現場では、こんな声が常態化しています。
「スクールを卒業したのに、実務で何から手をつければいいか分からない」 「ツールは使えるが、デザインの判断ができない」 「クライアントとのコミュニケーションが取れず、案件が炎上する」 「ポートフォリオは作れたが、仕事に繋がらない」
つまり、「ツールを使える」と「現場で通用するデザイナー」の間には、想像以上に深い溝が存在します。この溝を埋めることこそが、本来デザイン教育が担うべき役割のはずです。
本プロジェクトでは、この構造課題に正面から向き合い、「現場で通用するデザイナーを育てる」ことをゴールに据えたオンラインデザインスクールの立ち上げをご支援しました。
1. カリキュラム設計と教材制作
スクールの中核となるカリキュラムを、ゼロから設計しました。Illustrator、Photoshop、Figmaといったツール教育は当然のベースとして、その上に「デザインの判断軸」「クライアントワークの進め方」「ポートフォリオの作り込み方」「案件獲得のプロセス」といった実務知を積み上げる構造です。
教材は動画コンテンツ、テキスト、課題、フィードバックを組み合わせた立体的な設計とし、学習者が単に「見て分かる」ではなく「自分でできる」状態に到達することを徹底的に意識しました。
2. 講師・メンター体制の構築
オンラインスクールの品質は、講師とメンターの質に大きく依存します。採用基準の策定、トレーニングプログラムの設計、フィードバック品質の標準化まで、「誰が担当しても一定以上の指導が提供される」体制を構築しました。
加えて、講師・メンター同士が知見を共有し、指導品質を継続的に高め合う仕組みも整備。属人的な指導から、組織として質を担保する教育体制への転換を実現しました。
3. 生徒のモチベーション管理設計
オンライン学習の最大の課題は、学習継続率です。どれだけ優れたカリキュラムを用意しても、生徒が途中で挫折してしまえば成果には繋がりません。
そこで、学習進捗の可視化、定期的な1on1メンタリング、コミュニティを通じた仲間との交流、学習成果の発表機会の設計など、生徒が学び続けたくなる仕掛けを多角的に組み込みました。「孤独な独学」ではなく「仲間と共に成長する場」としての価値を、サービス全体で構築しています。
4. 教育事業としての運営基盤構築
カリキュラムや教材だけでなく、教育事業として持続的に運営するための基盤も整備しました。生徒の学習データの蓄積と分析、卒業後のキャリア支援、卒業生コミュニティの運営、新規入学者向けのオンボーディングフロー——これら「立ち上げ後に運用し続けるための仕組み」まで含めて設計したのが、本プロジェクトの特徴です。
「現場で通用する」を本気で目指すカリキュラムが完成し、他のスクールとの明確な差別化を実現
講師・メンター体制が標準化され、指導品質が属人化しない運営基盤を確立
生徒のモチベーション管理の仕組みが機能し、学習継続率を担保する仕組みを構築
教育事業としての運営オペレーションが整い、立ち上げ後も自走できる状態を実現
未経験者がプロのデザイナーへと成長する、再現性のある育成プラットフォームとして始動
「教育事業の本質は、卒業生が現場で活躍できるかどうか。それ以外の指標は、すべて副次的なものに過ぎない。」
教育サービスの立ち上げでは、「受講者数」「満足度」「卒業率」といった指標が前面に出がちです。もちろんこれらも重要な指標ですが、Desiaが本プロジェクトで最も重視したのは、卒業後に現場で本当に活躍できる人材を育てられるかという一点でした。
この問いに答えるためには、カリキュラムの内容だけを磨いても不十分です。ツール教育、判断軸の伝達、クライアントワークの実践、ポートフォリオ制作、案件獲得支援、卒業後のキャリア伴走——これらすべてを一つの育成プラットフォームとして統合的に設計する必要があります。
「ツールが使えるようになったから卒業」ではなく、「現場で通用するデザイナーになったから卒業」と言える状態をどう作るか。Desiaが本プロジェクトで挑んだのは、教育事業の在り方そのものを問い直すことでした。
新規事業の中でも、教育事業は特に「立ち上げて終わり」が許されない領域です。生徒は数ヶ月、時には1年以上かけてサービスを利用し続け、その期間中ずっと品質を維持しなければなりません。一度の失敗が、生徒の人生に直接影響を与える可能性すらあります。
だからこそ、教育事業の立ち上げには長期的な視座と、きめ細かな運用設計が求められます。Desiaは本プロジェクトで、この難しさに真正面から向き合いました。短期的な集客成功や売上達成ではなく、「卒業生が現場で活躍する姿」を最終ゴールに据え、そこから逆算してすべての設計を進めました。
教育は、社会への投資です。本プロジェクトを通じて、デザイン業界に新しい人材を継続的に輩出する仕組みを、クライアントと共に作り上げました。
「教育・スクール事業を立ち上げたいが、カリキュラム設計から運営体制まで伴走してくれるパートナーを探している」 「既存のスクールを運営しているが、現場で通用する人材を本当に育てられているか不安がある」 「オンライン学習の継続率に課題を感じており、根本的な改善をしたい」 「講師・メンター体制が属人化しており、組織として品質を担保する仕組みを作りたい」
こうしたご相談をお持ちでしたら、お気軽にお問い合わせください。教育事業の立ち上げから運営基盤構築まで、長期視点で伴走支援します。
OTHER
その他記事一覧
自律観測型AI開発 プロジェクト Athena_v1.0 開発記 #1
一行もコードを書かないまま1,100行の要件定義を書き切った、自律観測型AI「Project Athena」の開発記。
AIコミュニティRIALAの運営を「実装で」支える ── 自動採点システムと実践ライブのFDE型支援
DesiaはAIコミュニティ「RIALA」の立ち上げ・運営支援に取り組んでいます。運営体制の支援にとどまらず、コンテストの自動採点システム(GAS+Claude API)の開発やClaude Code実践ライブ会の登壇など、自ら実装・実演するスタイルでコミュニティの価値を作っています。運営支援を「提言」で終わらせないFDE型の実践事例です。
福祉の現場に入り込むプロダクト開発 ── 収支管理アプリ「FUKU-CHI」にFDE型で伴走
Desiaは2024年12月より、福祉施設向け収支管理Webアプリ「FUKU-CHI」のプロダクト開発責任者として、課題定義からUI/UXデザイン、プロトタイプ検証、テストマーケティングまでを一気通貫で担っています。福祉業界という制度知識が不可欠な現場に入り込む、DesiaのFDE型事業開発の代表事例をご紹介します。
自社開発SNS分析ツール「SNS Insight Pro」が完成、クライアントへの無償提供を開始
事業開発事務所Desiaは、Instagram公式APIを活用したSNS分析ダッシュボード「SNS Insight Pro」の開発を完了しました。AIエージェント「Manus」を活用したSNS自動投稿の仕組みとあわせて、FDE(Forward Deployed Engineer)としての実践の一環として、Desiaのクライアントには無償でご提供します。
打刻アプリを内製した理由:現場の勤怠課題をNext.js×Supabaseで解決する
多くの中小事業者やクライアント現場で、勤怠管理は「エクセルへの手入力」「紙のタイムカード」「高機能すぎて使いこなせない既製SaaS」のいずれかに落ち着いています。Desiaでは、こうした現場の実態に合わせた打刻アプリをNext.js+Supabaseで内製し、必要十分な機能に絞ることで運用定着を実現しました。本記事では、なぜ市販ツールではなく内製を選んだのか、どのような課題をどう解決したのかを、技術構成とあわせて紹介します。
AIの波を乗りこなすコミュニティ戦略。要件定義からプロンプト開発まで、ゼロベースでの事業立ち上げ
AIを「学ぶ」で終わらせず、「実務の成果」に変える場所をどう作るか——AIコミュニティ「RIALA」の立ち上げを伴走支援しました。サービスコンセプトの言語化からLP制作、運用基盤の設計まで、立ち上げの全工程を共に走り抜いたプロジェクトの全貌をご紹介します。
営業組織の解体と再構築。IS/FS分業体制の確立とZoho CRMによる完全自動化プロセス設計
「属人的に売る」から「組織で勝つ」へ——営業組織の解体と再構築を伴走支援したプロジェクトをご紹介します。IS/FS分業体制の構築、人材スペック策定、評価制度設計、Zoho CRMによる完全自動化まで。拡大フェーズに耐えうる強靭な営業マシンを共に作り上げました。
クリエイティブの質を落とさず、時間を創る。AI時代の次世代ディレクション・モデルの実装
「忙殺されるディレクター」を解放し、本来注力すべきクリエイティブな思考時間を確保するために。Web制作の現場へ最新のAIツールを導入し、業務フローを根本から見直すワークショップを展開しました。AI時代の次世代ディレクション・モデルを実証したプロジェクトです。
「現場で通用する」を体系化する。次世代クリエイターを育むオンラインデザインスクールの全貌
ツールの操作方法を教えるだけのスクールではありません。Illustrator、Photoshop、Figmaといった必須スキルに加え、「仕事としてデザインすること」の本質を伝える実践的カリキュラムを開発。未経験者をプロのデザイナーへと変える育成プラットフォームを築き上げました。
55名の組織を率いて市場を切り拓く。総務省での知見に基づく「CX向上」と組織マネジメント論
年商800億円規模の大手企業にて、最大55名の部下を束ねるプレイングマネージャーとして最前線に立ちました。総務省でのプレゼン経験に裏打ちされた「エンドユーザー体験(CX)」視点を組織に浸透させ、新規拠点の開拓と人材育成を同時並行で推進した、組織マネジメントの実践事例です。
ファンを熱狂の渦へ。数秒の遅延も許されない芸能イベントLPにおけるUI/UXと負荷対策
アクセスが爆発的に集中するエンタメイベントにおいて、システムダウンは許されません。サーバーサイドとの連携による負荷分散を前提に、ファンの高揚感を損なわないリッチなビジュアル表現と、迷いなく購買へ導くUI設計を両立。システム要件という制約の中で、クリエイティブの力を最大限に発揮し、興行の成功をデザインの側面から強力にバックアップしました。
データを経営の羅針盤に。SaaSプロダクト開発におけるBI構築とKPI管理の自動化
新規SaaSプロダクトの成否は、データの鮮度が握っています。開発フェーズから参画し、組織データをリアルタイムで可視化するBI環境を構築。KGI/KPIの進捗を一目で把握できるダッシュボードで感覚的な判断を排除し、データドリブンな意思決定を可能にしました。
企業の「核」を視覚化する。要件定義から実装まで、一気通貫で紡ぐブランド・ストーリー
クライアントの中に眠る抽象的なビジョンや想いを言語化し、具体的なデザインへと昇華させるプロセスです。コーポレートサイト、ホワイトペーパー、バナーなど、あらゆるタッチポイントにおいて一貫したブランドメッセージを発信。上流の要件定義から細部のピクセル調整までを一気通貫で担い、企業の信頼性とブランド価値を最大化するクリエイティブを提供しました。
ツール導入で終わらせない「定着するDX」。社内システムリプレイスと現場の意識改革
高価なツールを導入しても、現場が使わなければ意味がありません。システム開発の要件定義から携わりつつ、真の課題である「現場スタッフの意識改革」に注力。丁寧なオンボーディングと業務フローの再設計を通じて、新しいシステムが日常業務に溶け込むまで伴走しました。「やらされるDX」から「自ら活用するDX」へ、組織文化のアップデートを実現した事例です。
熟練の勘をデータという資産へ。製造業の営業ブラックボックスを解き放つ、CRMとBIによる組織変革
「誰が、いつ、どこで売っているのか見えない」——そんな製造業特有の属人化した営業体制にメスを入れました。kintoneによる顧客情報の資産化と、Looker Studioによる「勝てる行動」の可視化を断行。現場の抵抗を乗り越え、データを武器に戦う営業組織へとマインドセットごと変革。結果として、再現性のある成約プロセスと、経営判断に直結するクリアな数値管理体制を確立しました。
国境を越える「直感」を設計する。MaaS事業におけるグローバル・デザインシステムの構築とUX最適化
言語や文化の壁を超え、世界中のユーザーが迷わずに操作できる「共通言語」としてのデザインシステムを構築しました。国内外の多様なステークホルダーが関わるMaaSプラットフォーム開発において、Figmaを中核に据えたデザイン基盤を整備。開発スピードの劇的な向上だけでなく、ユーザーが移動体験そのものに没入できるシームレスなUI/UXを実現し、スマートモビリティの未来をデザインで具現化しました。
美しさだけでは売れない。マーケティング戦略と一体化したECサイトリニューアル・V字回復の記録
単なる「見た目の刷新」はリニューアルではありません。徹底的なアクセス解析と顧客インサイトの分析に基づき、購買意欲を喚起するUX導線をShopify上でゼロから再設計しました。予算管理からSNS広告運用、さらには新商品開発の商談まで、ビジネスの全領域を総指揮。デザインを経営資源として活用し、低迷していたサイトを「売れ続ける収益エンジン」へと生まれ変わらせました。
View more →