
日本国内のFDE求人は、2026年春時点で約35件、提示年収は900万〜2,500万円超が中心レンジとされています。募集しているのはAIスタートアップ、大手SaaS、コンサル、SIerが中心です。
この数字を見て、中小企業や非IT企業の経営者が「うちもFDEを採らないと」と考えるのは自然です。ただ、結論から言えば、この争奪戦に参加して勝つのは現実的ではありません。
件数が少ないということは、供給も少ないということです。需要は指数関数的に伸びている一方で、FDEを名乗れる人材の供給は直線的にしか増えません。
この需給ギャップの中で、知名度もストックオプションもない企業が、AIラボや大手SaaSと同じ候補を取り合う。採用コストを考えても、プロセスの長さを考えても、合理的な選択とは言い難いでしょう。
もう一つ見落とされがちなのがドメイン学習コストです。外から優秀なエンジニアを迎えても、自社の業務を理解するまでに数か月かかります。その時間を短縮できる人材は、実はすでに社内にいます。
外から技術を連れてくるより、中にいる人に技術を持たせる方が、中小規模では圧倒的に早い。
社内FDEとは、自社の業務を知っていて、AIを使って自分で自動化を作れる人のことです。高度なアーキテクチャ設計ができる必要はありません。
必要なのは3つだけです。自社の業務フローを説明できること、どこが無駄かを見つけられること、そしてAIツールを使って小さく作って試せること。この3つが揃えば、外部の高額な支援なしでも相当な範囲が回ります。
実際に効果が出やすいのは、エンジニアではなく業務側の人です。経理、総務、営業事務といった、毎日同じ作業をしていて不便を一番知っている人が、最短距離で成果を出します。
最初の段階は、自分の手元の作業を1つ自動化することです。スプレッドシートの転記、定型メールの作成、ファイルの振り分け。小さすぎるくらいでちょうどいい。
次の段階で、他人の作業に手を伸ばします。ここからはヒアリング能力が必要になり、実はFDEの仕事の本質部分に入っていきます。自分の業務と違い、相手の困りごとを言語化する工程が入るからです。
その先が、部門をまたぐ仕組みです。ここまで来ると、権限やデータの持ち方といった設計判断が必要になるので、外部の知見を入れる価値が出てきます。逆に言えば、そこまでは自力で進められます。
社内FDE育成で最もよくある失敗は、1人が相当なレベルまで到達したものの、仕組みの中身をその人しか知らない状態になることです。異動や退職で、積み上げたものが一瞬で使えなくなります。
対策は2つです。作ったものの「何が・いつ・どこから・どこへ」を1枚のメモに残すこと。そして、2人目を早めに育て始めることです。
2人目は1人目よりはるかに早く育ちます。社内に成功例と相談相手がすでにあるからです。このコスト逆転を知っているかどうかで、育成計画の組み方は変わります。
外部を使うなら、作業を丸投げするのではなく、「作り方を残す」ことを前提に発注するのが合理的です。同じ金額を使うなら、成果物だけでなく手順が社内に残る方が後々効いてきます。
特に効果が高いのは、最初の1件を一緒に作る形です。型さえできれば2件目以降は社内で回ります。
Desiaでは、この「社内に作り方を残す」形のAI導入伴走を行っています。人を採るべきか、育てるべきかで迷っている方は、現場の状況を伺うところからご相談ください。お問い合わせはこちら:https://desia.jp/contact
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